アベノミクスは存在するのか?

ひでおさん

2014年11月24日 17:44

 一昨年暮れの阿部政権成立に伴い、日銀の黒田総裁が、金融緩和の大ナタを振った。この結果長らく続いて居た超円高があっという間に急激に円安に転じ、それに伴い株価の急上昇がおこった。これが一見経済の活性化につながり、この現象をとらえて”アベノミクスと名付けられた。つまり、金融緩和実行前から、このような経済政策が立案されて”アベノミクス”と名付けられた物ではなく、金融緩和の結果予想以上の円安と株高がおこり、この現象をうまく取り込んでアベノミクスと命名された物だ。

 阿部さん自身も金融緩和がこれほど急激な円安と株高は当初予想していなかった物で、いわばこの現象に便乗して命名されたにすぎない。つまりアベノミクスという経済政策は存在していない。これを見るに世界の経済は、われわれの想像以上に敏感に各国の経済政策に反応する事を知らされた。私個人は、おかげで資金運用を株や投資信託で運用していたので、ずいぶんと恩恵を被っている。

 しかし、折角のこの現象をうまく活用できるかどうかの知恵が日本経済にとってあるかないかという問題が大きい。米国や欧州・中国と行った国々はしたたかな経済運営をしており、それに比べて日本は、よく言えば紳士的、悪く言えば無芸無策で国際金融に振り回されているのが現状で、国際金融を相手にしたたかな戦略を持っていない。

 阿部内閣で評価できるのは世界50カ国をこの2年で回り、その訪問を通じ中国の拡張主義を牽制、批判し、最終的に、中国との首脳会談を実現させ"尖閣の領有権”という文言抜きの決着を見たという事だろうと思います。そこで示された戦略的互恵関係という言葉を強力に推進する事が、平和維持にとっても、日本経済にとっても最も重要な事と考えています。

 阿部政権の持つ欠点は”靖国問題”に対する、かたくなな姿勢であり、我々にとっても何故"戦犯”と言われる人たちの合祀拘るのか、ことあるごとに繰り返す”戦争犠牲社に対する、”尊崇の念”という言葉はむなしく聞こえる。太平洋戦争における犠牲者はインパール作戦を始め多くの"死の行軍や、ジャングルでの飢えで亡くなったのであり、勇敢に戦っての死者はわずかだ。私はこれらの方々に心から”哀悼の意”を表したい。

 現在、九死に一生を得て、このような戦地からの帰還者がご高齢ながら存命している。彼らに亡くなった後、靖国神社にまつられたいかどうか聞いてみたら良いと思う、私はおそらく90%以上の方が否定されると予想している。戦犯であった岸信介元首相の孫にあたる、阿部さんは自分の出自を戦犯の汚名で汚したくないという、一種の”名誉ロンダリング”をして、一族の名誉を守りたいと考えているのか。だとしたらこの国際関係の中で、したたかに戦うのは難しい。

 我々国民側としては、政府任せでなく、折角吹いている円安株高に帆を張って、新たな本物の経済環境を作る事を考えなければ行けない。現在にない次元の産業の創出が必要だ。一つはビッグデータ、もう一つは宇宙、更に言えばバイブレーショナル・メディスン。非可聴音を含む音楽もその一つ。

 

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