前田勇祐ピアノリサイタル

前田勇祐ピアノリサイタル



 前田勇祐さんのピアノコンサートがさる11月8日、ヤマハホールで開催された。会場に入ってまず目についたのは舞台日照りに大きな生け花がスポットライトを浴びて輝いていたことだった。いつも殺風景なピアノリサイタルが華やいだ雰囲気を作っていた。

 前田さんは、ベルリンフィルの首席クラリネット奏者のフックスさんが、去る9月末に浜フィル”秋のコンサート”に参加のため来浜された折、その前々日に浜フィル常光コンサートで、フックスさんのソロコンサートで伴奏を担当していただいた。その時の印象は〝歯切れのよい演奏”ということだった。

 さて当日演奏が始まってみると、音が異常に大きく響きピアノとしては多少違和感があった。これは百人程度が入る小ホールにしては、大ホール用のピアノで演奏されたため響き過ぎたか、また木製の舞台の上のピアノ設置で舞台自身が響板となって、ピアノの響板と共鳴して、大げさに言うと大太鼓がピアニシモで伴奏しているような感覚を覚えた。

 それでも前田さんの鍵盤をたたく指は見事な動きを見せていた。シューマンの曲を主に聴かせていただいたが、私がイメージするシューマンより力強くダイナミックな音響となっていました。後期ロマン派のシューマン、その夢幻的で憂愁を帯びた曲想を特徴としていると思いますが、元気なシューマンとなっていたように感じました。これは前述のピアノ設定のせいかもしれません。

 演奏が始まってみると、舞台の生け花と、演奏者という華が左側に偏って重なって見えまた。生け花はは右側においてバランスを取った方が、視界が広がってよかったのではないかと感じました。

 現状の演奏スタイルではリストや、プロコフィエスといった、ピアノのテンポとリズムが生きる曲がよいのではないかと感じました。今まで順調に人生を過ごされてきたように推測されますが、今後いろいろな人生経験を積まれることによってより繊細なニュアンスの表現、作曲者の作曲時の心の状態を聴衆に届られるようになると期待しています。

 更に絵画とか、他の芸術を鑑賞し幅広い”感性”を身につけられる努力が期待されます。


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