新型コロナウイルスの現状と、その後の世界像

 1.新型コロナウイルスがもたらした物
新型コロナウイルスの出現当初は、単なる新し風邪の流行程度に受け止めていましたが、その後、クルーズ船、ダイヤモンドプリンセス号の経過を見るにつけその異常な感染力に接し、徐々に恐怖が増してきました。そして、これはある意味では”第3次世界大戦”になるという直感を感ずるようになりました。

 第3次世界大戦は、兵器による戦いでなく、人類とウイルスによる闘いとなり、これがもたらす影響は、国家とは何か、経済とは何か、社会のあり方とは何か、個人の豊かな生活とは何か、という人間社会の全般にわたるあり方を根本的に見直さざるを得ないところに追い込まれたような感じがしています。

 非常事態宣言が出され、十分な個人的時間が与えられると体力維持のため、ひと気の無い公園や住宅街を90分ぐらいかけてコツコツと周囲の風景を眺めながら歩いて見ると、普段はあまり意識しなかった、住宅や木々の情緒ある風景に心を慰められ、また特に佐鳴湖畔の公園の遊歩道には週日にかかわらず多くの方が、家族で、または友人と散策したり、ジョギング、自転車などを楽しまれていた。ここを歩くときは意識的に風上に位置を取り、たとえウイルス罹患者がいてもこれを吸い込まないように心がけています。

 これらの風景を見るにつけ、普段忘れていたせっかくの風景を楽しむ気持ちが生まれ、何か豊かな生活とはこのような環境を楽しめる心のゆとりを持つことではないかと反省される。いつもはただ運動のためと周りの風景などあまり目を止めず、やや義務感を持って歩行を重ねていたような気がする。すれ違う家族や友人たちと談笑しながら散策する姿を見ていると、久しぶりに親子で楽しそうに過ごしている家族や友人とリラックスしてジョギングをしている学生などを見るにつけ、コロナのおかげで普段、得難い時間を過ごしているように思える。

 経済力一辺倒の世界各国のせめぎ合いの中で、このような時間の価値が失われ、人心がますます荒廃していく現状を反省すると、この期に何か新しい価値観を創造し、人間のあるべき生活規範を求めて、新しい暮らし方や働き方をを模索していく良い機会ではないかと思われる。勿論、これは日本以上に経済優先を掲げる中国や米国を現状で改革するのは困難と思いますが、日本がこれを目指して新たな社会生活をを実現して見せれば、世界はそれを受け入れるかもしれません。

 この新型コロナ問題は多くの示唆を人類に与え、世界中の国民がそのその恐怖の実体験を持ったことは新しい改革を進めていく上で、受け入れられやすい素地ができたとも言えます。

2.社会の変革をもたらす要素
 2−1.在宅勤務・遠隔会議の普及
 この問題の発生以来、政府は在宅勤務を奨励し、会社は、出張規制を敷きこのためTV画像を通じた遠隔通信が急増している。このことは今後飛躍的にその運用技術が高まり、質的にも5G通信の実用化に伴い高精度、高品質の遠隔会議システムの実用化が進み、多くの体験者が在宅勤務や遠隔会議の有用性を体感して、これをベースに新しい勤務形態や顧客との対話方法が生まれ、大幅に交通混雑や出張経費が緩和される。

 在宅勤務により従来の勤務時間による管理から、仕事単位による管理とかわり、スキルが成熟した人はある意味で外注扱いとなり個人が独立会社に近い存在となっていく可能性がある。この場合、条件が整えば他社の仕事も引き受けられるようになり、会社は社会保険、健康保険の負担を免れる。また、いわゆる”派遣社員”もスキルを身につける事により在宅勤務化する事により業種によっては複数会社の仕事を引き受け、”派遣切り”に対するセーフネットとなり収入の安定化につなげる事ができる。

 2−2.公務員経費の大幅削減と新しビジネス環境
 ネットによる作業が公務員に拡がることで、いわゆる”お役所仕事”の縦割りがの弊害を破れる可能性があり異なる部署のデーターの共有化が進み、お役所の諸会議のための資料作りの労力が大幅に軽減され公務員の大幅な縮小が期待される。また国会議員はじめ地方議会の進め方なども効率化が期待され、結果的に大幅な(年間20兆円以上)国費削減が期待される。

 ネットによる個人ビジネスの確立は、ともすれば大型ショッピングセンターなどで見られる店員とに希薄な関係が常連としての密な関係を呼び戻し、日々の活動に人間味を感ずる事ができるようになれば、豊かな社会生活を取り戻す事ができる可能性がある。

3. 新型コロナウイルス感染からの脱却の方向性
 3−1. 新型コロナウイルスからの脱却
  現在はその対策はもっぱら”3密”を避けその感染を集約する方向でのみ政策・対策が叫ばれている。しかし、これらの活動により新型ウイルスを”終息”
できるということは考えづらく、できたとしても”収束”であり、それはある一定の発生レベルに抑えることで全くゼロにはならない。今までの感染症で唯一終息宣言ができたのは”天然痘”のみであり、この場合でも終息宣言が出るまでに数十年を要している。従って発症数があるレベルまで下がり、医療体制とのバランスが取れた時点で”収束”とみなし、徐々に規制緩和を図るべきだと思います。

 3−2.”収束”を測る物差し
  現在、感染の検査として、 PCR計測(ウイルスの持っている遺伝子を科学的にコピーして量を増やし、分析可能にする技術)と”抗体計測”が取り上げられています。PCRは患者がウイルスを持っているかどうかの検査であり、抗体計測は一般の人が(無症状の人を含め)どの程度の率で過去の感染を経験しているかを意味する抗体を持っているかを調べるものです。これらの感染経験者の数を把握しその総数から、死亡に至った人の数の割合を知ることで、インフルエンザなどとの死に至る場合との比較により、その危険性の程度を知ることです。インフルエンザの場合、この死亡率は0.1%程度であり、新型コロナの場合もこの抗体検査を広く実施してその死亡率を見れば推定0.2%程度と予測されているそうです。この点を見ればインフルエンザと大して変わりないということになります。

 3=3. では何が問題か
  新型コロナウイルスの場合、死に至るプロセスがあまりにも急で、手の施しいようがないという恐怖感です。従ってこの状態に悪化した手の施しようもない状況をどのように克服するかが問題となっているようです。比較的症状が安定している間は、アビガンという日本で開発されているインフルエンザの治療薬が有効であると言われます。また重傷になった場合はヒズラ出血熱症ように開発された薬が有効であると言われております。また最近中国からの報道で、呼吸困難に陥った患者に鍼による治療で著しく症状が改善し結果的に全快した人が6例いたという報道もありました。私も鍼治療は可能性があると思いますが、鍼治療者がどの程度いるかが問題です。このように”死”の恐怖を取り除くことができれば、インフルエンザと同等の扱いができるというのがノーベル賞を受賞された”ほんじょ”先生のご意見でした。

 3−4.いつ収束を判断するか
  前項に掲げた治療薬はすでに薬としてはすでに認定されていますが適応症状が異なると改めて副作用等の確認の治験が必要とのことで、これらの治験があとどの程度かかるのか、何んとか特例で半年ぐらいで終わればと願います。(通常の治験は2〜3年を要する)また現在治験に入っているワクチンは、あと1年から2年かかると言われております。これらが1年で終われば何とかオリンピックに間に合うかと・・

 4. その後の世界像
  4−1.どのような世界が望ましいか
 今までの世界が、軍事力と経済力に支配され、世界はその価値観で動いてきました。しかし今回の新型コロナ事件は、はしなくも世界経済が相互依存している姿を明らかにしてきました。また、強力な軍事力を誇る米国・中国も北朝鮮や香港・台湾に対してその力を有効にできていません。従って新しい国家像はその国の文化を明確に示すことに努力し、それぞれの文化を尊重し、経済においてはお互いに協力と競走で発展させるという構図を描き、軍隊の存在意義を縮小していく方向が望ましいと思われます。そして人間らしい余暇を過ごせることに価値を置く価値観を経済より優先される世界が来ることを期待します。文化的価値観が経済的価値観より重く見られる社会です。

  4−2. 残る問題
 現在はITに過度に依存する社会となっています。ITの安全性を確保する意味では、現在のICをベースにしたネットだけでなく、全光学素子によるインターネットの並列な構築も視野に入れなければなりません。現状のインターネットは太陽の大爆発による巨大磁気嵐や強力な放射線を発する流星の接近などで麻痺する恐れがあります。全光学ネットはこれらの影響を受けません。今コンピューターが一月も止まれば、あらゆる生産・交通・金融・医療は止まり世界は終わります。これは新型コロナ以上です。



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この記事へのコメント
とても勉強になります。価値観が大変化しますね。
楽しみでもあります。
Posted by のののののの at 2020年04月23日 16:48
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