拉致問題の解決の代償として日本は北朝鮮を核保有国として認めることを提案すべき(横田滋さんに捧げる)

1.拉致問題解決の糸口
 
 安部政権はその発足以来”拉致問題を最重要課題”と口では言い続けてきた。しかし、それにしてはこれまでの問題に関する行動は
トランプ大統領に本件の口添えを北朝鮮との交渉の場で頼んだぐらいで、具体的には何もしていない。

 元来は、この問題は日本と北朝鮮の二国間問題で、他国に協力や理解を求めて圧力を加えることは実害のない他国にとって心情的理解は示すものの、一緒になって北朝鮮に圧力を加えてもらえるような問題ではない。

 従ってこれは日本が人道的見地から独自の行動し、思い切った措置を講ずるより解決の道はない。北朝鮮は現在、米国との交渉の行き詰まり、韓国との関係悪化のなかで事態解決の方向性を失っている。このまま放置するためには何か突発的行動に出る危険性があると考えられる。その一つとして、何らかの言いがかりをつけ日本に向け核攻撃を仕掛ける可能性もゼロではない。

 こうした状況の中で日本は拉致問題解決後、北朝鮮の核保有国であることを承認し、平和条約を提携しこの中で相互不可侵条約も締結する。そして、5兆円規模の戦後補償と北朝鮮産業の近代化に協力し、日本産業との合弁事業の推進を行う。これに当たっては適切な範囲での技術移転を行い、北朝鮮の自律的経済発展に寄与する形で行う。また韓国で見られるような慰安婦問題や、超要綱問題が、あとあと起こらないよう最新の注意を払い、条約を結ぶ。

2.予想される各國の反応
2−1.国連
 この件の出発点が”日本固有の人道上の問題であるので基本的に世界各国は正面切って反対できないと考えられる。問題は国連安保理決議に反する行為であるので。この辺が大きな壁となりうるが、これ以上拉致問題を放置できない日本の事情から各国がよほどの実効ある代案を提案しない限り強く反対することはできると思われる。

2−2.米国
 もとより米国の一般市民は朝鮮の核問題などは、米国に直接被害をもたらす可能性がある場合は除いてどうでもいいことで、ましてやトランプ政権にとっては本音は核保有国として認めてしまって、大陸間弾道弾の開発停止と引き換えに制裁解除をしてこの問題の蹴りをつけたいのが本音ではないかと思われる。

2−3.韓国
 韓国はすくなくとも現政権(文在寅)は熱烈な南北統一論者で、かつ日本に対し強烈な対抗意識の持ち主であるから、日本がこの挙に出れば相当なショックであるはずだ。しかし朝鮮半島の分断は基本的にはに日本がおこした第2次世界大戦の結果であるのだから朝鮮統一のお手伝いをするのは我が国の言わば義務であると思う。このためには現状の南北経済格差が対等の統一を実現する大きな妨げとなると思われるので、北朝鮮にとって韓国と同レベルの経済力を日本の支援を得て獲得すれば、お互いの統一がしやすくなると考えられる。

2−4中国
 中国にとって、北朝鮮が核保有国として認められると世界の超大国として邁進する習近平にとって微妙な影を落とし、色々神経を使わざるを得ない状況になり、中国の膨張政策に一定のブレーキが掛かる効果が期待される。従ってかなりの妨害工作が予測される。

2−5 ロシア
 ロシアは直接的利害関係はないので、北朝鮮との安定的関係を続けることに特に問題であることにはならないので静観するのではないかと思われる。また北朝鮮の経済水準があがれば、シベリア開発にとって有意義な効果もあると予測されれば、ある意味では歓迎の気持ちもあるのではないか。

2−6.欧米各国
 欧米各国にとっては本音としては、正にどうでも良いことですが日本が国連決議に反することで、ある程度の制裁を求めることが立場上あるかもしれない。しかしこの人道問題を解決する代案が示されない限りあまり強硬なことはできないと考えます。

3このような状況下でどのような手順で進めるか。

3−1.まず国連で日本は北朝鮮制裁決議案から、人道上の問題を解決するために離脱することを宣言する。

3−2.北朝鮮に対して拉致問題の全面解決すれば、日本は北朝鮮を核保有国として認めることを通告。

3−3.この合意が実行された後、制裁措置を全面解除し、北朝鮮と日本の間で平和条約を結び戦後補償として5兆円程度を提案する。これと引き換えに日朝間の相互不可侵条約を結び、日本海域でのロケット実験を中止させる。この5兆円は5から10年程度の時間をかけて日朝通商条約を結び日本の経済援助をどのように行うか協議しながら行う。事業の出資は北朝鮮が6日本側が4として、北朝鮮側の出資は戦後補償の中で賄う。

3−4.関係各国に本件が日本の最重要課題である拉致問題を解決するための措置であり、同時に日本の戦後補償を解決し将来的には南北統一を支援するものであることを伝え理解を求める。

4.日朝協力後の進展

4−1.北朝鮮の産業の近代化が達成された後は、北朝鮮の良質な労働力と相携えて、シベリア開発に臨みシベリアの工業化を支援する。
4−2.シベリアの工業化の道筋をつけ、日本に対する親近感を醸成したのち、北方領土問題について改めて交渉に臨み日ソ平和条約の締結に臨む。

以上により安倍内閣はその公約である”拉致問題””北方領土問題”の解決に至らなくてもその糸口を作ることにより公約を果たせたことになります。

5.その後の世界情勢
 これらが実現していく中で日朝韓およびロシアとの関係改善を推進し、現在の米中対立の2極構図を変え第3極による影響力を増して、新しい国際関係を作り出し、中国の覇権主義を牽制してゆくことが望ましいと思われる。米国との関係は良好に維持していく努力はするものの、今までのように全面依存は難しくなる中で、日本としては真の独立国を目指しグローバルな対応を推進して、戦力以外でも平和を維持する努力が必要です。
多くの識者が、北朝鮮は絶対に核放棄はしないだろうという見解を示す中で、”核廃棄”を金科玉条のように唱えてもことは進展しません。現実を認めそれが使用できない環境を作ることで事実上の”廃棄”につながる構造を作るべきです。日本がやれば各国もバラバラと追随してくると思います。北朝鮮問題は各国にとってある意味”うんざりする”問題になっているからです。


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この記事へのコメント
北朝鮮問題は、欧米は特に本音では関心が無いと思います。
核を既に保有しているわけで、見てみないフリをするにも限界があるし、ウンザリという表現その通りだと思います。北朝鮮を上手いこと活用して中国をも牽制してしまおうという発想は、とても面白く世界情勢を変えていく為にも可能性は高く良いと思いました。
Posted by のののののの at 2020年06月20日 16:15
のののさん
コメントありがとうございます。
この提案道りにやるとしたら、日本国民も相当な決意を持ってやり抜き、政府も各国の反応を見乍ら、柔軟な対応で進めないと旨くいかないと思います。日本もそろそろ外交に”したたかさ”を備えた対応が必要です。
Posted by ひでおさんひでおさん at 2020年06月20日 20:12
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