フジコ・ヘミング公演中止の顛末記

 去る5月26日話題のフジコ・ヘミングさんが北東ドイツフィルハーモニー管弦楽団とともに浜松公演をされると聞いて、早くから切符を手に入れておいた。

 当日会場であるアクト大ホールに開場時間に合わせて出かけたが、どうも様子がおかしい。係員らしき人がハンディーマイクを使って何か説明しているのでそばに寄って聞いてみると、”フジコ・ヘミングさんは
本日の朝、体調を崩し医師の診断によると、{急性腸炎}と言う診断で演奏ができなくなった。北東ドイツフィルハーモニーによる演奏が行われ、チケットはそのまま保持してもらってフジコさんが元気になったら穴埋めの公演を行う”という趣旨のことを説明されていた。

 病気とあらば仕方がない。キツネにつまされたような気持で、会場に入ると、なんとピアノがデンと据えられていた。代役が出るのかなあと思っていたら、ピアニストとヴァイオリニストのソリストが出てきて、演奏が始まった。プログラムにある曲とそうでないものが混じっていた。

 これは、Vasko Vassilevと言うロン・ティボーコンクールなどで最高位を得ているまだ24歳の新進気鋭のイギリスのバイオリニストとその奥さんのピアニストだった。後でわかったことは、今回はこの二人と後で演奏に加わったエレキギターとサンバのような打楽器とのカルテットであったようだ。いわゆるフユージョンと言うものか。これにオーケストラからコントラバスが加わった。

 演奏が始まった瞬間は音がバラバラで、緊急事態にオーケストラの団員が動揺しているのが表情からわかる。その割にピアノの女性は頑張ってシャープな音を出していた。つまりこれはバックアップのピアニストかと最初思っていたが、これは全く別物と理解した。後はピアノとバイオリンのソロとデュエット対オーケストラのコンチェルトみたいな形で進んだ。

 この後、エレキギターが加わりカルテットの演奏となり、舞台に残った団員はこのカルテット単独の演奏を楽しそうにリラックスして聴いているのが印象的であった。聴衆の拍手に支えられオーケストラも元気になり、音もボリュームが上がって音もそろい始めた。

 この後フージョン・カルテットととオーケストラの合奏は奇妙なバランスながら楽しめるものであった。
たどたどしい日本語で曲の説明や挨拶をされ聴衆には結構受けていた。休憩なしで1時間20分位の公演を急きょ作って、聴衆に応え、しかもオーケストラは無償公演で有ったそうだ。

 このカルテットとこの楽団は、何回か共演しているということで、急場のプログラムができたと思うがそれにしても、聴衆に対するプロ根性、熱演は大したものだと感じた。聴衆の大拍手にこたえ、アンコールも2回、更にオーケストラ団員が引き揚げた後まだつづく拍手に、このバイオリニストとピアニスとの夫婦は再び舞台に現れさらに一曲という異例さに大喜びの聴衆から前列にいた聴衆は浜松では珍しいスタンディング・オベイションが出ていた。

浜松の音楽はこの手のものの方が受けるような気もする。浜フィルの”秋の音楽会”(9月16日土)は、初めてポップスをやります。多分喜んでもらえそうな気がした。

 フジコさんの穴埋め公演はこの秋10月ごろピアノソロが行われるそうです。それまでチケットを無くさないようにしなければ・・


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