日本の半導体産業の基盤維持を考えるべき

 私たちが普段スマホや液晶テレビを動かしているのは、半導体チップという、1センチ角ぐらいのシリコン基板に、数百万個、数千万個のトランジスタが詰め込まれている電子部品です。これらは又もちろんコンピュータや、グーグルのような巨大なデータセンターの心臓部であります。今、コンピューターが動かなくなると、銀行、鉄道、自動車、飛行機、製造業、農業というあらゆる産業や文明は全く動かなくなります。

 日本は、かって日本は、1980年代には半導体技術で、世界のトップに立ち、これを見た米国は、日本にコンピューターの心臓部を握られることを、安全保障の観点からも許すことはできず、なりふり構わぬ要求を日本政府に突き付け、いわゆる日米半導体戦争といわれた、激しい外交交渉の結果、米国から一定の割合の半導体を輸入することを約束させらました。

 これに懲りて米国はインテルの生産するコンピューターの心臓部であるCPU(中央演算装置)チップの国外生産や技術移転を厳しく抑え、いまだにその地位を確保している。

 日本は、円安と台湾韓国に鷹揚に、技術移転・人材の放出を許し、現在では中国が国家戦略として半導体製造を発展させ、日本国内の半導体生産は、風前の灯火で、全く競争力を失っているのが現状です。

 わずかに東芝が、新しいメモリーチップで前向きの投資を行っていますが、ほとんどの半導体メーカーは、採算が取れず、共同出資会社に集約し、サバイバル競争に四苦八苦しています。

 最近では、中国によるサイバー攻撃というインターネットを使って不法に、国家機密や、企業からの技術情報の盗み、これにより軍事、産業情報を得て、兵器の開発や、新技術の取得が行われているといわれます。

 このような状況がこのまま推移し、中国製の半導体に行政機関や、先端技術企業のコンピューターシステムが導入されると、その半導体製造過程で、ウイルスが組み込まれ、重要なデーターを流出させる仕組みを作ることも可能で、国家安全上は安保法制を上回る危険性を含んでいます。

 このような観点から、政府や公的機関、ハイテク企業が使う半導体の基幹部分は国産化を前提とすることを法制化して、先端半導体産業の保護育成を図るべきだと思います。

 現在半導体技術の最先端は、東北大学が関与しているベンチャーだと聞いています。東北大学は、現在東芝が量産化しつつある、新しいメモリーの基本技術である”多層化”をいち早く開発した、伝統ある半導体技術の最後の砦です。

 IT技術の重要性が叫ばれる今、その中枢に対する強力な国家戦略を持たないと、やがて、中国が世界制覇に乗り出しかねません。

 現状では中国は自力で新しい半導体を開発する能力はないと思いますが、製造面では覇を握る可能性はあります。

 安保法制による戦力の強化以上に情報の安全とリーダーシップの維持は喫緊の課題です。


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