沖縄から米軍基地をなくす手順

 民主党が、自民党政権の年金管理のずさんさが暴露された時流に乗って、思わぬ政権が転がり込んだ結果、準備不足の鳩山政権は、鳩が豆鉄砲を食らった態となり、あわてて人気取り政策を展開した。曰く沖縄普天間基地の”少なくとも県外移転””高速道路無料化””高校授業料無料化、全児童手当支給”などいずれも国民からの強い要望があったものではなく、民主党が自民党と異なることを強く印象付けしたいための”ご機嫌とり”政策でありました。

 このためすでに政府と米国と沖縄の間で合意されていた、普天間移設問題はにわかに時局問題と化し、にっちもさっちもいかなくなってしまった。

 太平洋戦争の末期に身の毛のよだつような、生き地獄が展開され、多くの民間人が犠牲になられた経緯を見れば、沖縄県人が抱く戦争に対する憎悪の気持は、解り過ぎて余りあるものがあります。このような素地を持つ沖縄に対して、民主党の人気取りのため、しっかりした見通しもなく”少なくとも県外”という言葉はあまりにも軽薄で有ったと言わざるをえません。

 いい年をして、いまだに母親から多額の”お小遣い”をもらって政界に”君臨?”している、おぼっちゃま内閣のいい加減な発言に振り回され、多くの無為なる時を過ごされた沖縄県知事をはじめ沖縄の皆様の胸中を察するに余りあるものがあります。

 沖縄から本当に米軍基地がなくなるのは、米軍が沖縄に基地を持つ意味がなくなる時であることは間違いありません。ではその基地を持つ意味がなくなると言うことはどんな時でしょう。

 私達日本の国でも、たった500年前には国内で戦国時代と言う、戦争に明け暮れした時代がありました。それが徳川が天下を取り、地方大名を参勤交代など巧妙な方法でコントロールし国内の戦乱は除外されました。これを引き継いだ明治政府は、海外に目を向けることにより日本国という世界の中での一国と言う姿を国民に見せ、廃藩置県等の政策とともに、国内戦争の芽を完全に潰しました。

 現在、東京と大阪が戦火を交えると言うことは考えられない状況になっています。これは交通や経済の発展の結果、相互依存が強まり、地方が独立して経済運営ができない状況によるものです。

 中国でも、ヨーロッパでもつい100年前は域内での戦乱がありましたが、現状ではほとんど戦火の発生する可能性はゼロとは言いませんがかなり低くなっていると言えます。

 世界の平和は、このように口で叫んだだけではその実現は難しく、一方で経済関係文化交流の促進を通じお互いがなくてはならない存在になることと、文化交流を含め相手の国をよく理解する活動を強化することがやがては国家戦力の維持の必要がない世界を生み出すと思います。

 このような環境を醸成することが沖縄から基地を撤廃する道であると思います。そのためには当面次のような施策が必要であると思います。

 ①沖縄の那覇空港は国内有数の地方空港が整備され、おそらく北海道の新千歳空港に匹敵する規模になっていると思います。一つにはここを中国との経済的な物流の拠点として、日本全国の対中国の物流の窓口として整備し、沖縄から全国地方都市にこれら貨物を発送し検疫・税関てつづきを一元化する機能を備える。

 ②普天間基地を早急に辺野古に移転して、跡地を温暖・熱帯向けの農業を開発・実用化ができる大規模農業大学を設置し、中国南部、タイ、インドネシアなどと近代農業の共同研究および現地での共同経営を目指した新たな農業政策を実現し、世界に競争力ある価格で提供でき、併せて日本の間接的食糧自給力を確保する。又北海道に、寒冷地向け農業大学、本州中部海岸地帯の砂地に、砂漠向け農業大学を合わせて設置し全世界的に農業分野で協力・指導できる体制を作る。

 ③現在でも進められているICT関連のデーターセンターやICTに関連する特区を設け、ここに韓国・中国を含む東南アジアのみならず世界的なICT関連施設を整備し、農林水産の近代化の情報発信基地としていく。

 このような施策の推進により、沖縄の政治的・経済的位置を世界的なものに押し上げ、近隣諸国への影響力を強化することにより、自ずと米軍基地の無用化、しいては、肥大化する中国軍の無用化も合わせて実現していくことが、憲法で戦争を放棄した、日本が口先だけの平和でなく積極的に戦力の無用化を進め世界に向かってその責を果たす道であると考えています。

 沖縄県知事の基地負担の本土への分散をと言うお気持ちはよくわかりますが、沖縄対本土という対立軸は実体がなく、交渉の窓口がありません。また仮に本土のどこかに候補が上がったとしても、その時点から、辺野古かその候補地かという図式になれば、おそらく双方とも譲らず解決の道はないように思います。それよりも大きな未来に向けて積極的行動に出られることを期待します。

 この実現には、半世紀以上の時間が必要かもしれませんが、もうあの戦争から60余年を経ています。次の半世紀に向かって、積極的な努力を始めようではありませんか。そのビジョンが示されるなら大多数の国民は、真摯に協力を惜しまないと思います。



 



 


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